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匂いと記憶

ある匂いを嗅ぐと記憶がぱっと脳裡によみがえる…

これを匂いのプルースト効果といいます。

マルセル・プルーストの「失われた時をもとめて」の一節から

呼ばれています。

匂いの脳への伝達経路は

記憶をつかさどる海馬や感情をつかさどる扁桃体

の近くを通ります。

人間は、その匂いのするものが

危険なものなのか、有益なものなのか

忘れないように感情と結びつけて記憶してきました。

そんな経験はありませんか?

予期せぬ匂いに、ふっと忘れていた懐かしい記憶がよみがえり

胸が温かく熱くなる…

先日、花屋の店先にスズランの花束があり

思わず購入してしまいました。

北海道で生まれ育った私にとって

スズランは初夏をつげる特別な花です。

近くに住む母にも届けました…

スズランを一目見ただけで目を輝かせた母。

すぐに手をのばし、花束を鼻に近づけ胸いっぱい匂いを嗅ぎ…

その時の母の表情は、うっとりを超えるほど幸せな表情をしていました…

そしてなんどもうなずいていました。

母は脳梗塞のため言葉を失っています。

でも、言葉に出せなくても、母の脳裡に何が浮かんだのか…

想像ができました。

幼いころの両親の笑顔? 青春時代に友達といったスズラン狩り?

家庭をもって自分で活けたスズラン?

なにかは分かりませんがきっと楽しく幸せだった思い出につながったはずです。

緩和医療学会でお会いした京都医療センターの畑さんの発表は

あらためてアロマテラピーの見えない力を

確信させてくれました。

たくさんの素晴らしいボディワークがあります。

そのなかで精油をもちいたアロマテラピーは

匂いを介することで

より受け手の心に響く施術がおこなえると気づきました。

寄り添うアロマテラピー。

そして受け手が主人公になれるアロマテラピー。

あらためて確認できた出会いでした。

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